
「きのうの世界」
著者:恩田陸(オンダ リク)
出版:講談社
価格:1,700円+税
至って真面目なサラリーマンが突然失踪。
1年後に遠く離れた地で死体で発見された。
果たして彼の身に何が――?
というお話。
舞台となるのは塔と水路が整備されている町なんですが、この人は本当に水というか川が好きですよね。
そしてやはり最後はとんでもないという(笑)
それでもリアリティがあるのがすごい。
正直恩田さんの作品はオチで「あれ?」となってしまうことが多いんですが(特にここ最近)、とにかくラストまでの過程がすごいんですよね。
映像が呼び起こされるし、臨場感もあるし、引き込む力がとても強い。
どうやったらこういう風に背景が浮かんでくるように書けるんだろう…。
今回も、何人かの視点から、多少時間軸が前後しつつ、それでもぐいぐい進んでいく構成はさすがだな~と思います。
読み終えて考えてみると今までの本と似通った部分もあるのだけど、読んでいる間はそんなの全然感じさせないですし。
あと雰囲気を作り出すのも上手いです。
雰囲気というか、特に不安を感じさせるのが素晴らしい。
ミステリーだから不安が強調されるのかも知れませんが、やっぱり読み手の心理状況を操るところまで出来るのはすごいですよね。
例えの使い方が上手いんだろうなぁ…。
謎を残したまんまってのも恩田さんらしいですね~。
あ、これ直木賞候補ですか?
ほほう…取れるといいですなぁ。
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