「君のための物語」
著者:水鏡希人(ミカガミ マレヒト)
出版:電撃文庫
価格:570円+税
たまには電撃もチェックするかーと、電撃小説大賞の金賞を受賞した作品に手を伸ばして見ました。
レーイの性格が好きだなぁ。
物語全体に漂うちょっと古めかしい雰囲気は、おそらく台詞回しからくるものだろうと思いますが、個人的には結構好きです。
外国の本が翻訳されるとかこういう感じだよなぁ、と(笑)
レーイの芝居がかった喋り方や、主人公のレーイに対する皮肉なんかも面白いですし。
私好みの切ないお話…なんですが。
内容が何というか、薄いと言うか味気ないというか。
印象に残る、という感じではないんですよね。
こういう何でもないことを紡いでいく構成は好きなんです。
キノの旅とか加納朋子さんとかも、結構淡々と進むけど好きですし、その中でイメージが浮かぶシーンっていうのがあるんですよね。
でもこの本の場合、何故かそれがあんまりない気がします。
多分背景描写が少ないからだと思うんですが…。
それもまた魅力の一つとも言えるんですけど(笑)
時間に余裕がある時にちょっと読んでみるような、そんな感じです。
読むと落ち着く、そして落ち着いてる時に読みたい本。
レーイの正体があまり描かれてないのも良かったです。
そしてさり気ないけれど確かにある親愛の情。
「僕だって君にそんなことしたくないから」
綺麗にまとまっていて良かったと思います。
端的に表現すると心温まる地味ストーリーでした。
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